恋狂い

矢島は40日間の航海を終えて、妻の火奈子(白川和子)との久しぶりの再会を楽しみにしていた。しかし、港の待合室に彼女の姿はなかった。アパートに帰っても、彼女はいない。つけっぱなしの室内灯、描きかけのキャンパス、無言電話。カレンダーには、夫の帰る日まで一日ごとに印が入れられていたが、十日前に途絶えていた。矢島は不安にかられた。火奈子はどこへいったのか。火奈子に何があったのか。彼は少ない手がかりを元に彼女の行方を追うのだった。少しづつ明らかになる火奈子の足取り。精神的に追い詰められていく矢島。その先に待っていたのは、激しい情欲と憎悪、そして陰謀だった。