枕営業の代償 初美沙希

都内某所。製薬会社に対し、薬品の原料等を販売する某会社の営業部。ここの営業部は、この業界内でも急激に売上げを伸ばし始めていた。しかし、理由があった。何故なら、先の見えない不況を乗り切る打開策の一環として、士気を発揚させる為に、社長賞という名の特別ボーナスを支給していた。他の部署には無い制度。ここの営業部に対してのみだ。そして今日は、月恒例の社長賞の日。営業部全員が、皆ゴクリとつばを飲む。午前十時に差し掛かった所で、部長が発表する瞬間を待ちわびていた。給料一ヶ月分に相当する社長賞。社員全員に実力を誇示出来る唯一の機会。しかし、毎度毎回、驚異的な売上を誇る社員が居た。しかも、人妻女子社員。今日も、言わずもがな社長賞を手にしたのは、美人女子社員・初美沙希だった。彼女にはとにかく謎が多かった。疑問を持った営業部の社員達が、不自然にダントツな彼女の売上げの真相を暴いていこうと動き出したのだった。