お兄ちゃんに会いに初めての海外、初めてのロサンゼルス。ずっと夢だった「ひとり旅」をついに実行に移した。だけど正直、空港から出た時点で足はガクガク、ビビりっぱなし。英語はもちろん話せないし、チビで、地元でもよく「小学生?」って間違われる僕が、アメリカでお兄ちゃんと無事再会を果たした。再会も果たし、僕は完全に安心しきって浮かれてしまった、、、お兄ちゃんのいるところから近くのカラバサス街を観光していたら、ポーチに入れてたはずのパスポートがないことに気づいた。「えっ、ウソでしょ?」。ガチで泣きそうだった。パスポートなかったら帰れないし、英語もちゃんと話せないし、ベンチに座り込んで、軽くパニックになってたら、「Did you lose your passport?」。顔を上げると、そこにはすらっとした長身のブロンド美女。まるで映画から出てきたようなその人が、僕のパスポートを手に持って、ニッコリ笑ってた。「これ、落としたでしょ?日本のパスポートだし」。「は、はいっ。それ、僕のです。ほんと、ありがとうございます」。深くお辞儀したら、「大丈夫だよ、よしよし」。そう言って、ぽんぽんって頭を撫でてきてくれた。 御礼がしたくてカフェに誘ったらすごく喜んでくれて、けど、お店も分からないし、英語も分からないけど、彼女がニコニコしながらすごくリードしてくれる。僕よりも身長が高くて見上げる感じなんだけど、周りからはどう見られてるのかな。彼女はずっと楽しそう。僕のことをクマちゃんって呼んでくる。勇気を振り絞って、ホテルに誘ったら前のめり気味でOK。部屋に着くとドキドキしすぎて言葉が出なくて、僕はただ、彼女の言葉に頷くしかなかった。心臓が変なリズムを打ち出した。彼女のキスはあたたかくて、香水の匂いと体温と、何もかもが初めて。その夜、僕は「子どもみたいな僕」のまま、彼女に大人にされていった。